竹下修司展 (日本画)

6月9日(月) - 6月21日(土)
10:00-18:00 (最終日17:00まで)

植物(生命)はそんなにも大人しい存在であっただろうか。
岩の隙間からも芽を出し、高速道路の中央分離帯でも花を咲かせるような強さを持ち、人間の眼では見る事が出来ない色を発して虫たちを欺きおびき寄せ受粉させ次世代を残す。
乾燥した砂漠から密林、寒冷地まで適応してみせるのに、竹下の描く植物はどこか儚げで繊細で大人しい、人目を避けてひっそりと咲いている。都会の喧騒やストレスに満ちた日常を声も立てずに吸い込んでしまいそうだ。まるで土に水がしみ込んでいくように世界を浄化しようとしているかのように。

日々の制作は単調な行為の連続ですが、画面上に起こる出来事にはいつもささやかな感動があります。
画面に絵具を置くことで始まる、現象と行為の呼応により、少しずつ絵は立ち表れます。
力業ではなく、絵のなりたいように手を添えること、絵の前に敬虔で謙虚であることを自らの約束事としています。
自分にとって、描くという行為は、足元に穴を穿ち、掘り下げていくようなものかもしれません。
作品に現代性や、社会的なメッセージを込めてはいません。
むしろ、描くという行為を通じ、ソーシャルに形成された自己を削ぎ落とし原始的な世界に没入すること、根源的な美しさに触れることを期待しています。
そこへ流れる水脈が親愛なる他者へと通じているのだと信じています。   (竹下修司)



       
〈明るい庭〉 2024年 パネルに綿布、岩絵具、水干絵具、箔 785mm X 405mm

     
〈舟〉 2024年 パネルに岩絵具、水干絵具、箔 380mm X 405mm
     
〈星月夜〉 2022年 パネルに寒冷紗、岩絵具、箔 410mm X 318mm(F6)

竹下修司
1984年   広島県生まれ
2008年   東北芸術工科大学芸術学部日本画専攻卒業
2010年   東北芸術工科大学大学院・芸術工学研究科芸術文化専攻・日本画研究領域修了

主な個展
2021年 「竹下修司展 −Plantes−」 画廊翠巒 前橋
2023年 「竹下修司展 −fleurs−」 画廊翠巒 前橋
    「竹下修司展 −花言葉−」 書肆翠 広島
2024年 「竹下修司展 −Beautiful planet」 画廊翠巒 前橋
2025年 「竹下修司展 −季節風」 書肆翠 広島

主な展覧会と受賞
2008年 「東北芸術工科大学卒業/修了制作展」 優秀賞 上野の森美術館・東京都美術館 東京
2010年 「東北芸術工科大学卒業・修了制作選抜展」 東京都美術館 東京
2011年 「あおぞらDEアート@ツープラス」 ギャラリーツープラス 東京
2014年 「第1回梅津五郎芸術賞」 入選 白鷹町文化交流センター 山形
    「第27回全国和紙画展」 入選 美濃和紙の里会館 岐阜
2015年 「アマダレ 塩澤清史・竹下修司・永井里枝」 画廊翠巒 群馬
2023年 「Re:もう一つの前橋の美術2023」 画廊翠巒 群馬
2024年 「Re:もう一つの前橋の美術2023」 画廊翠巒 群馬
2025年 「Re:もう一つの前橋の美術2023」 画廊翠巒 群馬