LOOTone展 (平面)

1月19日(月)-31日(土)
11:00-19:00 (最終日17:00まで) 日曜・祭日休廊

LOOTone ―笠間史士展 ―

展覧会概要
グラフィティあるいはストリート・アートから出発したアーチストには、キース・へリング、ジャン・ミシェル・バスキア、そして活躍中のバンスキーなどがいる。現代美術の世界では、グラフィティとファイン・アートの境界は限りなく近く、相互に越境しているともいえよう。
この個展はグラフィティ・アーチスト<LOOTone>のファイン・アートへの越境の試みである。しかし、グラフィティのもつ毒の部分は十分に持ち続けている。その矯められた角から、現代美術の発するメッセージとはなにか、という命題をつきつけられるようだ。

<グラフィティ・アート>について
ときにグラフィティは法の定める線を逸脱することがある。
グラフィティをやっている人を「WRITER(ライター)」とよぶが、グラフィティ・ライターは、違法行為などの場合の糾弾を避けるために匿名を使う。この匿名を「WRITER NAME(ライター・ネーム)」と言う。そしてお互いをこのライター・ネームで呼び合うため、かなり親しい仲でも本名をお互いに知らないことが多い。
絵でお金を稼いで生活すること、色々な人達の考えやスタイルを自分の中に取り入れ消化し、独自のスタイルに変えていくことなどの意味を、ライター・ネームに取り入れたくて、お金や略奪・戦利品の意味を持つ「LOOT」をライター・ネームにした。そしてライター・ネームの後には慣習的に "one", "ski", "rock", "em" や "er" がつけられる。
彼の場合、「LOOT」だけでは単純でよく使われる単語だったことと、No.1になりたい、独自のスタイルを追求したいという思いを込めて「one」をつけ、「LOOTone」にしたという。

LOOToneからのメッセージ
グラフィティを含むストリート・アートは、社会や体制に対する不満や反抗、メッセージなどがアートという方法で表現されることもありますが、大半は個人的な単なる「自己主張」「自己満足」「ストレス発散」が形となってストリートに吐き出された物です。
ストリート・アートはファッションや音楽と絡んで「かっこいいアート」として、10代20代の若い層に受け入れられやすいため、ストリート・アートをやる側が、そのアートのもつ不良性からくるマニアックで自己満足な「閉鎖的部分」や流行りモノやファッションの一部として大衆から捉えられている「一過性の部分」に気付くことが非常に難しく、また、日常生活から生まれるストレスの発散として、そして趣味としてアートをやるため、ファイン・アートのビジネスの土壌になかなか上がってこないのが現状です。
僕の場合、グラフィティを含むHIPHOPという音楽文化と出会い、その中のグラフィティが心の支えとなり、自分自身に自信を与え、人としての内面の成長に大きく影響されました。
またグラフィティを通して、多くの人達と出会い、支えられ、今に至っています。
その多大な影響を与えてくれた外国(アメリカ)から来たグラフィティを、ただ右から左に同じように外国の真似をするのではなく、日本人としての自分が全く違う角度から見て吸収し、日本人としての自分にしか描けない独自のグラフィティのスタイルに発展させていくこと、そしてストリート・アートからさらに上のファイン・アートへと押し上げることが、グラフィティを含むHIPHOPという音楽文化、そして今までいろいろな形で支えてくれた人達への恩返しになると考え、その考えを基に創作活動をするようになりました。
 今後、自分の中に存在する「グラフィティ」や「ストリート・アート」というジャンルの枠をさらにとりはらい、貪欲にいろいろなスタイルのアートを取り入れ吸収していくつもりですが、常に原点を忘れないためにもスプレー缶で壁に描くこと(グラフィティ)は、ファイン・アートとしての創作活動と平行してずっと続けていきます。

 〈ケバいねーちゃん〉
〈ケバいねーちゃん〉
2008年 アクリル、キャンバス地 2000×1545mm
〈少女〉〈少女〉
2008年 アクリル、キャンバス地 1750×1405mm

アーチスト LOOToneページへ→